資料13 European Summer School of Nursing Informatics

歴史

1.はじめに

European Summer School of Nursing Informatics(欧州看護情報学サマースクール:以下ESSONIと略)は、働きながら看護研究の大学院課程、欧州の大学の看護学部や高等教育機関に登録している看護職の徹底した学習へのニーズを満たすために、1990年に開始された。

そのニーズは、看護職が看護情報学の応用と発展について理解することと、欧州の大学で利用できる教育技術が欠けていることに起因していた。ESSONIは、欧州の全域から、努力は必要ながら形式ばらない雰囲気の中で、看護情報学の重要な課題に取り組むことのできる傑出した教師陣と学生を呼び集めることで、これらのニーズを満たそうとした。また、学生達は、異なる国々で得られた経験を交換することができ、これによってヘルスケアの課題への欧州的な解決方法へ貢献することができる。学生と教師陣は共通の目的を達成するために協働し、教師陣は、ファシリテーターとして位置付けられる。

従って、課題別クラス編成(トラック;track)のアイデア−各トラックは看護情報学の重要な課題について集中する−が採用された。学生は、一つのトラックを選択し、自分の関心おある課題に没頭する。なお、実践に強く関係があることが、ESSONIの成功に決定的であると考えられた。

1991年以来、ESSONIは若干の変更をしつつ、成功を収めてきた。この成功が将来に渡って継続することが期待される。

2.目的

ESSONIの目的は、看護情報学を、研究、教育と実践に基づく専門分野として前進させることである。

この目的は以下のとおり具体化される。

1.情報学の輪郭を把握し、看護の全領域における知識とスキルの交流を促進する。

2.教育理論家を招き、情報学を全ての看護カリキュラムへ導入する。

3.統合と普及を図るために、看護情報学専門家に導かれる討論グループとワークショップを促進し、各個人が情報学の関連性と重要性を認識し、それを毎日の実践に取り入れるように勧める。

4.情報学を利用して、専門分野としての看護の科学的、理論的な基盤を追求する。

5.強く関心を抱くよう奨励し、革新的な実践へ参加するように教え込む。

6.看護情報学の全側面の構造化された発展と評価を促進し、参加者が専門家の実践を識別し明らかにする手段として情報学を用いることができるようにする。

3.プログラム

プログラムは、6日間コースで行われる。学生と教育陣は共通の目的を達成しようとするため、学生の積極的な参加が不可欠である。コースは、全員が参加する講義と、ITを活用して問題を分析し解決策を提出するためのトラックでのグループワークからなる。

ESSONIのプログラムは、4つのトラックからなる。それぞれのトラックには、著明な専門家がチューターとして招かれ、学習過程の案内役となる。また、別にサマースクールの実行委員会のメンバーか他の補助的なファシリテ−ターがつく。ESSONIの新鮮味と革新的な性質を維持するために、毎年異なった専門家が招かれる。4つのトラックは、主要な看護情報学の課題に焦点を当てる。例えば、教育、インターネットの活用、臨床への応用、看護知識の管理と形成などである。参加者はいずれかの1トラックを選択し、期間中、そのトラックに従事する。こうすることで、参加者はグループワークに積極的に関わり、チューターと他の生徒と親密な作業関係を作り上げる機会を得るだけでなく、その課題についていつでも使える深い知識を得ることができる。

教育は、看護情報学のカリキュラム設計、展開と教授の全問題に関与する。臨床への適用は、ケアの提供を支援するための情報学の活用を含み、管理は患者のプロフィール、人員配置や質等の民代に関連する。インターネットは、これらにおいてツールとして用いられることがある。看護知識の形成とは幅広い用語であり、エキスパートシステムから、看護診断・介入・成果の構造化と分類まで渡る議論が含まれる。各専門家は、トラックのテーマに適切と思われる問題を自由に選択できる。

実践と技術の発展は、ESSONIの重要な部分である。地域の組織や企業には、その紹介と提示のために十分な機会が与えられる。もちろん、ESSONIのこの性質は、コンピュータ設備がなければ不完全である。ESSONIの期間中、生徒はグループワークや特定の宿題のためにコンピュータが使用でき、世界中の資源へのアクセスが可能である。

典型的なESSONIのプログラムは次の様なものである。

第1日:チューターによる講義、トラックでのグループワークの開始

第2日:課題、グループワークを継続。

第3日:グループワーク、参加者によるプレゼンテーションと地域視察の時間

第4日:課題、グループワークを継続。

第5日:課題、グループワークを継続。

第6日:課題、ワークグループの仕上げと、トラックでの作業の成果のプレゼンテーション

講義では、チューターはトラックでのグループワークの内容の傾向を提示するだけであり、実際の内容は参加者の学習ニーズにより決定される。

4.ターゲットとする参加者

ESSONIが目標とする人は、欧州の大学や高等教育機関の大学院レベルの学生や情報にかかわるプロジェクトに参加している看護職等である。学習の雰囲気とプログラムの相性との関係で、参加者は40人に限定され、各トラックには約10人が参加できる。組織は利益を目的にしておらず、参加料は、ESSONIで必要となる支出にあてられる。

ESSONIで用いられる言語は英語であるが、英語が堪能でない参加者を支援するために可能な限りの努力が払われる。欧州以外からの参加者も歓迎される。これまでに、香港、クウェート、アメリカ、カナダ、日本からの参加者を迎えている。ヨーロッパは成長している。

最初のESSONIは1991年にオランダのルースデンで開催され、翌年は英国のスターリングで成功裏に開かれ、1993年はベルギーのゲンク、1994年は英国のコルレイン、1995年はオランダのアムステルダム、1996年と1997年は英国のスウォンジー、1999年はオーストリアのホルンで開催された。

 

 


ウィーン、ホルンでのセミナーの体験紹介

 

プログラム

場所:オーストリアのウィーン近郊のホルン

日時:1999年8月14日〜21日

14日(土曜日)

・到着、ガストフ ブリーの食堂でビュッフェ

・登録と宿舎の割り当て

15日(日曜日)

09:30-12:30 開会式と案内役のチューターによる導入(コーヒー休憩を含む)

12:30-14:00 昼食

14:00-15:30 グループワーク

15:30-16:00 コーヒー休憩

16:00-18:00 グループワーク

19:00-    夕食

16日(月曜)

09:00-10:30 全員参加の集会 話題提供者3名

10:30-11:00 コーヒー休憩

11:00-12:30 グループワーク

12:30-14:00 昼食

14:00-15:30 グループワーク

15:30-16:00 コーヒー休憩

16:00-18:00 グループワーク

19:00-    夕食

17日(火曜)

09:00-10:30 全員参加の集会 話題提供者3名

10:30-11:00 コーヒー休憩

11:00-12:30 グループワーク

12:30-14:00 昼食

14:00-15:30 グループワーク

15:30-16:00 コーヒー休憩

16:00-18:00 グループワーク

19:00-    夕食

18日(水曜)

09:00-10:30 全員参加の集会 話題提供者3名

10:30-11:00 コーヒー休憩

11:00-12:30 グループワーク

12:30       昼食

13:00頃   ウィーンへ出発

19:00頃   ホイリゲでの夕食−公式夕食会 伝統的なオーストリアの饗宴

19日(木曜)

09:00-10:30 全員参加の集会 話題提供者3名

10:30-11:00 コーヒー休憩

11:00-12:30 グループワーク

12:30-14:00 昼食

14:00-15:30 グループワーク

15:30-16:00 コーヒー休憩

16:00-18:00 グループワーク

19:00-    夕食

20日(金曜)

09:00-10:30 グループワークと発表の準備

10:30-11:00 コーヒー休憩

11:00-12:30 グループワークと発表の準備

12:30-14:00 昼食

14:00-18:00 グループワークの発表(コーヒー休憩を含む) サマースクールの評価

19:00-    夕食と閉会式

21日(土曜)

・朝食と出発

 

4つのトラックについて

インターネットによる教育の提供

根拠に基づく実践の達成

情報システムの実現

看護情報学−ルネッサンス

 

参加したトラックの概要(看護情報学−ルネッサンス)

ファシリテーターは、英国のメアリチャンバース(Mary Chanbers)とオランダのウィリアムグーセンス(William Goossens)

看護情報学の研究と発展を探求する。

欧州のプロジェクト募集の一環として、情報学のテーマでの研究・開発提案書を作成する作業を行う。これには、研究トピックの確認、研究目的を明確にすること、プロジェクト計画、必要となる資源、普及計画と評価が含まれる。これらの活動で重要な事項は、研究プロジェクトの成果が、それが支援しようとする対象グループに対して、いかに利益を与えるかを明確にすることである。

15日

・導入、研究分野の特定、リサーチクエスチョンの設定

16日

・文献のレヴュー、クウェスチョンの改良

17日

・研究方法、アクセス、倫理的な問題

18日

・予算、資源と人、支援基盤

19日

・普及過程、クリティーク、プロジェクト管理

20日

・グループ発表

話題提供者は、自校の学生と他校とをeメールで交流させ、看護計画に関する交互学習を行った経験、Web上でのICNPの使用について、学習過程の記述的検討等

課題

WWW画面の設計についての検討 各種文献、WWW

PubMedを使用しての、徹底的な文献検索