T.はじめに

  1990年代初めにG.H.Guyattらが提唱したエビデンス・ベースド・メディシン(Evidence- Based Medicine:根拠に基づく医療)は、医療の主導概念として広く認められている。そ の目的は医療の質と患者サービスの向上であり、わが国においても厚生省研究班が平成11 年3月に「医療技術評価推進検討会報告書」(文献1)をまとめるなど、EBM定着のための取り組みが進められているが、これらの中心課題は医師の臨床判断である。看護職はケ アを通じて人々の生活に直接的に係わる、わが国最多数の医療関係者であることから、エ ビデンス・ベースド・ナーシング(Evidence-Based Nursing)の充実を図ることは、緊急 かつ重要なテーマである。
 本研究は、実証的な看護研究の先進国である英国との共同研究を通じて、EBNの実践 の基盤となる疫学(Epidemiology)、臨床疫学(Clinical Epidemiology)および看護情報 学(Nursing Informatics)について、内外の研究や教育の実態、学会活動状況等について 幅広く情報収集と整理を行うことにより、世界的な現状を概観するとともに、わが国にお けるこれらの分野の研究・教育の進展に資するための資料集を作成した。
  これらの知見に基づき、疫学および臨床疫学に対する看護職の主体的な寄与を一層推進 するため、その看護への応用としての(仮)看護疫学(Nursing Epidemiology)の体系に 関する考究を試みた。また、看護情報学について、卒前および卒後教育の充実に資するた め、ケア実践に有効かつ妥当と考えられる教育内容や方法等に関する提案を行った。                                                                                                      

目次へ戻る